これは、『ちちち』で行っていた行為のスクリプトといくつかの覚え書きです。


「出来事へと育つ行為。現象を夢見るパフォーマンス。」
(佐々木敦 , 2023/04/29 , twitter)

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あるひとつの行為、それはその行為を遂行する瞬間とその行為が生み出された瞬間の二つの感覚と結びついていて、自分の中で完結したものとして行われる。しかしそれは上演においては、ひとつのシーン(あるいはもっと小さなシークエンス)の中に位置付けられる。

行為は連綿とつづき集積することで、点であったものが線になった。飽くまで行為に紐づいた感覚を再生するために、思考的な意味に絡め取られてしまうことに抵抗するために、線となった点を見つめる。

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これは、次の瞬間に打ち消されるかもしれない。打ち消されたあとにもう一度やることができる。できないかもしれない。それでもやろうとすること。ひとつは、ずっとなにかの前であり、なにかの後であり続けた。掴みきれない状態は、却って意識をひとつひとつの行為に集中させる。

行為はすでに、上演時間に並走するものとしても配置されていた。進む先には膨大な点の数々がある。誰かにとってはちらつく程度のことかもしれない。しかし、点を踏みつぶしながら走ることが、走った線を描く。描いた。決定的な出来事はいつも、ちいさな行為によって引き起こされた。